FREEPARK

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2021/10/15 17:00



岡本太郎のサイコロ椅子は

ご存知でしょうか?


1954年に岡本太郎が山川ラタンの工房へ赴き、

その場でデザインをして誕生した作品です。


その当時は戦後、日本全体が復興の時代にあり、

デザインの世界においては不毛の時代でした。


どんなデザインが良くて、

どんなデザインがダサいのか。

そんなことを気にするよりも生活に対する

意識に多くの人が向いていました。


そのため

『椅子というのは座面に

 背もたれと4つの脚がついている』

という認識から逸脱した『サイコロ椅子』は

全く売れなかったそうです。


たった3,4年の販売期間のみで廃盤となって

しまったほどでした。


しかし時を経て、2011年。

岡本太郎生誕100周年の記念に

『サイコロ椅子』は

『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』の設立と共に

復刻されることになりました。


『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』の石黒氏は

会社を設立する以前、家具業界にいたため、

山川ラタンと岡本太郎のつながりを身近に

知ることができていたのです。


そして、

自ら岡本太郎財団へ向かい交渉を重ねました。

その結果パテントを取得し、製造および販売の

権利を得て、会社を設立となりました。


家具、デザイン、芸術においても歴史に残る

『サイコロ椅子』が

『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』の誕生に

欠かせないモノだったのです。





『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』は

ファブレスのブランドとして家具や雑貨の

企画・製造・卸売という業態にしスタート

しました。

※ファブレスとは「fabrication facility less」の略語。

「工場を持たない」という意味


はじめはサイコロ椅子と素材を同じくする

ラタン(籐)のインテリア商品を販売して

おりました。


しかし、業績はなかなか難しく、

低空飛行が続いておりました。


そんなときに出会ったのが

『ステンレス+琺瑯』という素材でした。


今では定番となっている

『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』の

『tsubameマグ』が生まれた瞬間でした。


そして、

2015年に『tsubameマグ』発表され、

FREEPARKは『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』に

出会うことができたのです。


石黒氏は

「あの頃にツバメマグをいいモノと言ってくれる

 店舗は全然なかったんです。FREEPARKさんに

 いいと言ってもらえて本当に嬉しかったんです」

と当時を振り返ってくださいました。


あれから6年のお付き合いが続いておりますが、

とても仲良くしてくださっていて、共に成長を

しているように感じるほどです。


今回、自由が丘のFREEPARKにてポップアップを

開催させていただくにあたり、改めてお話を

伺わせていただきました。


『サイコロ椅子』のお話以上に

『GLOCAL STANDARD PRODUCTS(以下GSP)』には

深いコンセプトと石黒氏の考えがあり、

もっとブランドを好きになりました。


そのコンセプトとは

『不変で不偏』です。


不変とは変わらないこと。

不偏とは偏らないこと。


そのふたつを併せ持ったスタンダードな

商品をGSPは作っています。


ブランドとしての主張性を抑え、

消費者の趣味嗜好に馴染んだモノとして

受け入れられたいという思いがあります。


例えば、

今使っているマグカップを思い出してください。

それは何となく気に入って買ったモノだったり、

誰かからプレゼントされたモノだったり、

一目惚れして買ったお気に入りのモノだったり、

人それぞれ普段何気なく使っているモノには

その人だけの理由があるものです。


そして、生活空間にあるすべてのものが

何らかのその人の趣味嗜好を加味してやってきた

モノということになります。


それぞれのモノへの思い入れは違えど、

リビングにそっけなく転がっていたとしても、

そのモノが持ち主のライフスタイルに染まって

欲しいというのが石黒氏の考えなのです。


民藝や雑器などは今となっては価値のあるモノ

として取り上げられていますが、当時は生活の

ために購入されていたモノでした。


それらと同じようにGSPの商品も

ユーザーが主役であり、

長く使って欲しいと考えて作られています。





さらにお客様が購入する理由についても

『不変で不偏』な考えをお持ちでした。


GSPのtsubameシリーズは新潟県燕市で

製造されています。そしてツバメのマークが

商品についているのがとても可愛いです。


素材はステンレスをベースにした

琺瑯(ホーロー)仕上げになっているため、

お手入れがとても簡単です。

また万が一琺瑯が欠けてしまっても、

ステンレスなので錆びずにそのままお使い

いただけます。


マグカップのカラーはブラック、ホワイト、

ネイビーとモノトーンなので、お持ちの食器と

合わせやすくなっております。


これらの説明をはじめて読まれ、

欲しいと思った方はどこに惹かれたのでしょうか。


「ツバメが可愛い」

「新潟は金属の製造で有名だから」

「錆びないのがいい」

「琺瑯だと割れないからキャンプにいい」

「モノトーンで揃えられるから」


それぞれの意見があり、

それぞれの購入理由があると思います。


石黒氏は情報を平等に比較して、

その方の好みで選んでいただけることを

大切にしています。


そのため「ツバメマーク」はありますが、

「MADE IN JAPAN」の表記は

あえて入れていないとおっしゃっていました。


「『日本製』だからという先入観で

 買って欲しくない」


そんなブランドとしてのわがままのような

少年の心が垣間見えました。





しかし、

石黒氏のモノを大切に選んで

長く使い続けて欲しいという思いには

ちゃんとした理由がありました。


それはたくさん作れないということ。


ツバメシリーズの琺瑯製品は70代の

おばあちゃんがひとりで手吹きにて

作っています。


繁忙期は朝4時に窯に火をいれ、

夜9時まで作っていることもあるそうです。


昔ながらの職人気質のおばあちゃんで

後輩には一切教えないそうなのですが、

技術の向上には貪欲だそうです。


職人としていいモノを作りたいという誇りが

よりいいモノを生み出してており、

実際に2015年の頃の商品よりも品質が

良くなっているのは私も知っています。


そのため、月に何万個も作れないのは納得。

何か月も欠品が続いてしまうこともあります。


FREEPARKでも入荷連絡が何か月も出来ず、

お待ち頂いているお客様がいらっしゃいます。

でも不思議とクレームになったことは

ございません。


GSPのすごいところです。


モノづくりに対する思いや

商品から発せられる存在感が

ちゃんとお客様に届いてるのを

店頭にいても日々感じております。






GSPのラタンシリーズもたくさんは作れません。


それは石黒氏がひとつひとつ手作業にて

ラタンを巻いているからです。


夜な夜好きな曲を聞きながら手を動かす。

そんなモノづくりが大切だと

石黒氏は考えています。


岡本太郎のサイコロ椅子はラタンで作られて

いました。工場が廃業してしまったため、

現在では製造が中止となっておりますが、

岡本太郎財団からはいつか製造工場が見つかれば

また作って欲しいと言われています。


さらに山川ラタンで出会った籐という素材。


ラタンに対するリスペクトがある石黒氏は

自身の手によってラタンを継承していきたいと

いう使命感があるのかもしれません。


ラタンの特徴が石黒氏の

『モノを大切に長く使って欲しい』

という思いを表現しているのも

理由となっております。


ラタンは欠けがあったり、汚れがついたり、

使っていくことで変化していきます。

最近の言葉でいうとエイジングのように。


その変わっていく様と生活は時間という軸で

繋がっています。目に見えない変化を感じる

ことで生活に潤いが生まれ、その先に買って

よかったと思ってもらいたい。


モノとの関わりは一瞬ではなく、

長く付き合っていくことで生活の一部になる。


お客様にそう思っていただきたくて石黒氏は

ラタンを巻いているそうです。





ラタンの話を聞いていてふと思ったのは

『ラタン巻き』の内職さんっていないのかな?

という疑問でした。


それに答えてくれた石黒氏の考えは

今の『モノづくりブーム』に警鐘を鳴らして

いるようでした。


最初に、

現在ラタン巻き職人はほとんどいません。

昔は内職のようなおばちゃんがたくさんいましたが、

中国に外注していた時代を経て、

いなくなってしまいました。


さらに新潟の分業工場の半分以上は廃業しています。


ここ数年で燕市での製造業の売上は上がって

いるそうですが、なくなってしまった工場が多く

受注が多くなっても製造できないという

残念な声もあります。


内職のおばちゃんがやっていた『モノづくり』は

今のブームのような『職人としての使命感』は

ありませんでした。


実際のところは生活のために作業をして、

生活費を稼いでいただけです。


『モノづくり』には内職のおばちゃんのような

『モノづくり』を含めた認識をしないといけない。


職人に光があたることはとてもいいことですが、

そこだけに偏っていてはイタリアブームや

フランスブームのようにいつかは廃れてしまいます。


日本の『モノづくり』というのは

生活するための仕事としてあるということ。


職人や内職の人は作ることしかできないから

作り続けていて、それは生活のためにやっている。

その継続性こそが『モノづくり』なのでは

ないでしょうか。


ここ数年『コト売り』が注目されていますが、

それは表面をこすっているだけで、本当は

『モノ売り』をすることが回りまわって

『コト売り』をしていることになります。


石黒氏はラタン巻きをすることにより、

改善点を見つけたり、実際に手を動かして作る

というモノづくりの原点を大切にしています。


そしてラタン巻きされたモノを購入することで

ラタンの需要が減っていることや内職がなく

なってしまったことを知るきっかけになります。


長い年月使うことでラタンがほどけてしまった

お客様へは巻き直しのサービスも行っています。


公には言っていないことだそうですが、

お問合せをしてくださったお客様の

モノへの情熱を感じるからそれに応えていると

おっしゃっていました。





GSPはファブレスなブランドだからこそ、

メーカーや工場に眠っている技術に『気づき』、

そこから商品にすることで新しい『気づき』を

消費者に届けています。


また石黒氏はGSPの全商品を生活の道具として

使っています。そしてその中での気づきが次の

商品につながっていくこともあります。


『モノを大切にしてもらいために

 モノを作っている』

それをまずは実践しているその姿から

自社の商品を愛してるのが伝わってきます。


石黒氏自身はブランドが有名になって欲しいとか、

自身が有名になりたいとは一切思っていなく、

GSPの作ったモノを背景のコトを含めて

お客様のライフスタイルに馴染んでもらいたいと

心から願っておりました。



『GLOCAL STANDARD PRODUCTS』は

これからも続いていく『不変で不偏』な

ブランドです。


どんなお客様にも寄り添うアイテムを

どうかご贔屓くださいませ。



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