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2022/08/04 17:00

真夏の8月が始まりました。

暑すぎるからこそ、
涼しさを感じさせてくれる
ガラスのジュエリーブランド
『_cthruit | シースルーイット 展』を
開催いたします。

期間は8月5日~21日です。

新作を含めた
極上のジュエリーが並びますので、
ぜひ夏のお出かけに
お立ち寄りくださいませ。

『_cthruit』は誕生してから
今年で14周年を迎える
ジュエリーブランドです。

洗練されたデザインと
シャープなフォルムを作る技術、
全てはアーティストの梅田香奈さんが
ひとりで手掛けております。

はじめてお会いしたのは
5年前くらいになるのですが、
今回は改めて『_cthruit』の奥深さを
伺ってみることにしました。

梅田さんから生み出される
『_cthruit』というジュエリーが
きっと好きになると思いますので、
ごゆっくりお読みくださいませ。

梅田さんは高校生の頃、
美術部に入っていました。

そう聞くと
美大に行ったように
想像してしまうのですが、
実際は慶應義塾大学環境情報学部に
入学しました。

若かりし頃は
「美大=絵を描く」
と思っていたようです。

デッサンをしたり、
絵を描くことを
あまり好きではなかったため、
美大に行くことは進学の選択肢に
なかったようです。

絵を描くことは好きではなかったけど、
芸術と増え合うことは好きだったので、
大学時代は美術館やギャラリーによく通い、
アート作品を鑑賞していました。

そして、
コンセプチュアルアートに出会います。

手作り感の残らない作品が
好きだった彼女にとって
アートである素材の持つ美しさに
どんどんとハマっていきました。

コンセプチュアルアートやもの派の持つ
圧倒的な存在感に魅了され、
彼女の美術に対する価値観が一転します。

「アートとは絵だけではない」
「美大を卒業してなくても作れるものはある」

新しい扉が開いた時期でした。

さらに
感受性のアンテナが敏感だったときに
この先の人生の方向性を指示してくれる
出会いがありました。

それが『吹きガラス』でした。

梅田さんは当時を思い返し、
「ガラスの美しさ、不思議さ、強さや脆さは
 ガラスに触れた最初の瞬間から今まで
 私を捉えて離しません」
と話してくれたほど
衝撃があったようです。

アートを作りたいという想いは
ガラスとの出会いによって
一歩ずつ動き始めました。

大学を卒業したのち、
映像制作の会社に就職しました。
しかし「何かを作りたい」という
思いとは裏腹な現実に挫折し、
あっという間に退職。

そして、転機が訪れました。

20代の悩み。
この先どうしていくのだろうと
私たちと同じように悩みました。

そして、
ガラスへの興味が強いことを自覚し、
能登島ガラス工房に
1年間行くことを決めました。

本格的にガラスの世界に入った
はじめの一歩でした。

吹きガラスを学び、
オブジェの制作をしたり、
ガラスの基本を学びました。

日々の学びの中で
ガラスのジュエリーのパイオニアである
光島和子さんの展示を富山で見たことは
大きな衝撃だったそうです。

後に
「割れたガラスの美しさを
 そのまま作品にしたリングは
 今でも私の見た最高のジュエリーです」
とおっしゃっているほどの大きな出会いでした。

その後
能登島ガラス工房を卒業してからも
独学にてガラスの制作を続けていました。

バーナーワークを始め、
自分用や友達用にジュエリーを
作り始めたのはこの頃でした。

当時はガラスのジュエリーを
作っている人はほとんどいなく、
彼女の知っているアーティストの中では
光島和子さんだけだったと
おっしゃっていました。

しかし、
光島さんは吹きガラスの手法で
ガラスの種類はソーダガラスでした。
梅田さんはパイレックスを使用した
バーナーワークだったので、
手法が異なっておりました。

そのため、
彼女は言葉の通り、
まさしく『独学』で制作を
続けていくしかありませんでした。

ガラスのジュエリー自体が
新鮮で新しいアートだったので、
周りからはとても好評だったようです。

すると
仲間から小さなイベントに
出店しないかという誘いがあり、
初めて自身の作品を販売することになりました。

その後も活動を続け、
スパイラルで開催されている
SICF(スパイラル・インディペンデント・
クリエイターズ・フェスティバル)という
アートフェスティバルに
オブジェを出品していました。

人前に作品を発表し続けていくうちに
本腰を入れてブランドにしていこうと
思うようになりました。

しかし、
「ブランドってどうやって作るの?」
と、ここにも壁がありました。

先輩たちに話を聞き、
手探りで一歩ずつクリアし、
試行錯誤を重ねて、とうとう
『_cthruit | シースルーイット』を
立ち上げました。

梅田さんは当時を振り返って
「私はいわゆる学校などで
 系統だったジュエリーやアート、
 デザインの勉強をしてきておらず、
 その無知ゆえ、思いついたこと、
 目の前にあったできること、
 やりたいことを無節操に無自覚に
 やっていただけだったな、
 とただただ反省します」
とおっしゃっています。

しかし、
たった一人で初めてのジャンルを
切り開いていくのには
相当な行動力が必要だったと思います。

いろんなことをやってみて、
「そうなんだ!」と気づき、
軌道修正しながら次のステージへ
向かっていく。

その繰り返しを続けて
今に至っています。

いわゆる「ガラス作家」と言われることに
違和感を感じると言う梅田さんは
微妙なバランスの中に立っていると言います。

・ガラスの技術を見て欲しいわけではない
・手作り感を見せたいわけではない
・大量生産をしたいわけではない
・切磋琢磨していることを見せたいわけではない
・コンセプチュアルなアートではない

どこにも属していないような
どこにも少し引っかかっているような
そんな風に話す梅田さんではありますが、
好きなものだけははっきりしていました。

ガラス。

彼女にとってガラスは
愛すべき素材なのです。

ガラスとの出会いを振り返り、
「透明のガラスが光を乱反射させ、
 目に直接見えていなかった光を
 ある種顕在化させる様子に、
 魅力的なアート作品を鑑賞するときに感じる
 目眩のような、現実が一瞬揺らぐような
 感覚を得たのです。
 ジュエリーを作りながら、
 私は常にこの目眩のような感覚を
 追い求めているように思います」
とおしゃっていました。

ガラスの持つ透明感や光とのセッション、
高温でとろけ、冷えてかたまる性質、
飽きることのない魅力が詰まった素材。

ガラスを自由自在に操ることで
_cthruitのジュエリーを作っています。

ブランドが成熟してきた頃、
彼女はベルギーへ移住しました。

567が流行る少し前の移住だったため、
世界中が大変な時期を
ヨーロッパで過ごしていました。

何か月も続くロックダウンの経験や
言語や異文化における生活の苦労、
そんな中でも彼女は独学で培った
経験を活かしてブランド活動を
続けていました。

ヨーロッパでのブランドの立ち上げ、
展示会への出店や取引先への営業、
大変さのなかに楽しみを見つけ、
3年半ほどの海外生活でしたが、
新しい発見もあったようです。

「ロックダウンの最中であっても、
 購入していただいた方々は皆、
 その小さなジュエリーにかつての
 日常の喜びを重ねていて、
 ジュエリーの役割を見るようでした。
 何かを足す(アクセサリー)というだけでなく、
 内面の輝きを増幅させるものでありたいと
 常に思っています」

作品においても変化がありました。
実はベルギーへの移住前は
『_cthruit』のラインナップに
色ガラスは少なかったのです。

しかし、
帰国してからはカラフルな
Prismシリーズが誕生したのです。

「ベルギーへの移住は、自分自身の、
 また、自分の作品の日本性に改めて気付かされ、
 向き合うきっかけになったと思います。
 カラーを混ぜたり、重ねたりすることで
 「何色でもない色々な色」を作り作品にする
 Prismシリーズなど、カラフルな作品を作り出したのは、
 ”もの言わぬ、「見せて察する」文化”
 である日本らしさから少し踏み出して、
 言葉で表現することに重点を置く
 ヨーロッパからの学びの結果かもしれません」

いくつもの色が重なり合い、
光の加減によって
幾通りもの見え方に変化する作品を
作ろうと思ったのは
異文化での経験から生まれたようです。

まさに梅田さん自身から
滲みだしてきたような作品です。

アーティストである梅田さんは
ガラスのコンテンポラリージュエリー
として『_cthruit』にこだわりがあります。

「そもそもジュエリーというのは、
 身体をアート作品の一部に変える装置の一つです。
 人間が身につけ、揺らし、動かすことで
 「作品」が完成すると私は捉えています。
 ただ、人間には限られたサイズがあり、
 巨大な彫刻作品や建築などのように
 人間を超越したモノにはなり得ません。
 そこで、ジュエリーの形を考える際に、
 それ自体をバランスのいい大きさにすることとは別に、
 「大きさを感じさせない」「大きさがわからない」
 ものであることを心がけています。
 あり得ない話ではありますが、
 「これが直径10mだったら・・・」
 「この長さが100mだったら」などと
 想像できるような、「圧縮された巨大彫刻」にも
 なり得ることを実は密かに狙ってもいたりします」

「ブランド立ち上げ当初は気づいていなかった
『大きさの不明な彫刻としてのジュエリー』
 を今は作っている」
とおしゃってくれました。

彼女はデザインをするときに
自身の好きなモノから想像し、
連想し、イメージを作っていきます。

例えば、
彼女は目で見えている景色と
レンズを通して見える景色の違いが
おもしろくて好きなので、
ルーペから連想して生まれたのが
新作のイヤカフです。

幾何学図形になることが多いのは
数学の歴史に惹かれ、
数学的な憧れがあるからです。

ピアスが片耳販売なのは
その組み合わせが無限にあり、
透明がゆえ世界が広がっていくと
考えられています。

新作に登場している乳白色は
以前はあまり好まなかったようですが、
今は透明だけでなく、少しカタチがあっても
いいのかもと思い、乳白色を好きになって
きたから使用されました。

_cthruitの梅田さんの中には
「好き」が明確にあります。

「好き」の連鎖や融合が
彼女の中で無限に生まれ、
いろんな方法で料理され、
ある意味土臭い作業の最後に
美しいジュエリーとして
私たちが目にすることになります。

が輝くように美しいのは
その奥にたくさんの「好き」と「努力」が
隠れているからなのです。

芸術とはその人自身から
生み出される作品であると考えると
『_cthruit』のジュエリーは
まさしく梅田香奈という
ひとりの人間から出てくるアートです。

最後に梅田さんよりメッセージいただきました。

「ガラスという素材のアンビバレントな
 性質をぜひ体験してください。
 つんと冷たいようで熱い、
 硬いようで柔らかい、
 透明で見えないようでキラキラと
 光って目が離せない。
 透明な線や塊が、光を反射させ、運び、
 引き出す様子はそのまま光の彫刻でもあります。
 持ち運び、楽しんでいただければ幸いです」

彼女の自由に楽しんで使って欲しいと言う
願いが届きますように。


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