こんにちは、FREEPARKの開米です。
古き良き器の気配を、現代の暮らしへ。
河原卓也さんのPOP UPを開催します。
期間:10月24日(土)–11月8日(日)
※オンライン販売も予定しております。
河原さんの作品は、暮らしに自然と馴染みながら、
日々の所作まで少し美しくしてくれるような存在です。
「これがいい」と選ぶというより、気づけばいつも手に取ってしまう。
料理をのせたときも、ふと視界に入ったときも、
静かな強さとやさしさが暮らしにそっと寄り添ってくれます。
私自身、河原さんの器を使う中で、その魅力に何度も惹かれてきました。
手に取るたび、眺めるたびに新しい表情に出会い、
「この美しさはどこから生まれるのだろう」と感じます。
そんな思いから今回、河原さんに作品に込められた想いや、
「古き良き器の気配」を追い求める制作についてお話を伺いました。
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Profile
1990年 東京都生まれ。大学では建築を専攻。
2010年 各国の西洋教会を巡る。美術館で東洋陶磁を鑑賞し、全国のやきもの産地を巡る。
2015年 陶芸・茶道を始める。
2020年 唐津焼窯元(登り窯・穴窯)にて修行。
2025年 作家として活動を始める。
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開米:
プロフィールを拝見すると、大学では建築を学ばれ、
その後、西洋教会や東洋陶磁、全国のやきもの産地を巡られていますね。
陶芸へとたどり着くまで、どのような想いがあったのでしょうか。
河原さん:
大学で近代建築の巨匠たちの作品を知り、
実物に触れてみたいという想いで20歳から各国の建築を巡る旅を始めました。
その中で西洋教会に足を踏み入れた時、
人生で初めての感動を受けました。全身が反応した感覚を覚えています。
以後、あの感覚はなんだったのか、常に頭の片隅に在るようになり、
旅の目的が近代建築から教会建築へ移行していきました。
また、日本では訪れることもなかった美術館や博物館にも旅の中で足を運び、
素晴らしい展示品にもたくさん触れたので、国内の美術館にも興味が湧いて訪ねるようになりました。
長年に渡り残されてきた美術品に触れる中、東洋陶磁に惹きつけられるようになり、
いくつかの茶盌が教会と全く同じ感覚を自身に与えていると気付きました。
そこから陶芸への関心が強くなっていきました。

開米:
なるほど。教会で感じられた感動を追い求めた先に、
東洋陶磁との出会いがあり、その探求の延長に唐津での修行があったのですね。
唐津での修行は、現在の作品にどのような影響を与えていますか。
河原さん:
唐津焼は私が感動を受けた茶盌の流れを汲むものであり、
ここに在るものを知ることが何よりも求めていたことでした。
唐津での修行は、薪窯もそうですが多方面の技術が私の器の糧となっています。
今の自分の制作環境で、経験をどう活かすかを考えた先に作品が出来上がっています。
開米:
長年積み重ねてこられた経験が、今の河原さんの作品につながっていることが伝わってきました。
河原さんがおっしゃる「古き良き器の気配」は、どのように生み出されているのでしょうか。
制作の中で大切にされていることや、
形、土、焼き方などのこだわりについてもお聞かせください。
河原さん:
大きく二つあります。
焼き物という点では、今現在これと決めていることは、すべて「生掛焼成」で制作することです。
これにより土と釉薬の馴染みが良くなり、理想とする風合いが得られます。
試行錯誤する中で制作した器の良し悪しを、身体が反応するかどうかで判断してきたのですが、
器制作の定石である素焼きをしたものに納得がいきませんでした。
また、なにより「古き良き器」と私が呼んでいるものもおそらく生掛焼成のため、
私が器を制作する意義もここに在るものと考えています。
もう一つ、作り手という点では、制作時の自身の在り方に集中して制作しています。
茶道にも触れてきたのですが、お点前という稽古に、非常に大切なものが内包されていると考えています。
陶芸の世界に飛び込む決心をつけさせた要因でもあります。
この内包物をもってすれば、「古き良き器の気配」は生み出せるのではないかという仮説を立て、
これを実践することが器を作る根幹にあるものです。
概念的に聞こえるかもしれませんが、身体的なものであって、
西洋教会と東洋陶磁から受けた感覚の正体がここに在ると確信しています。

開米:
器だけでなく、作り手の在り方まで大切にされていることが、とても河原さんらしいと感じました。
河原さんは以前、「人の心を和らげる手仕事がある」とお話しされていました。
器を手にした方へ、どのような時間や気持ちを届けたいと考えていますか。
河原さん:
色々なものを込めて制作していますが、見ていただきたいところは瞬間の印象に含まれていると思います。
日常使いいただく各場面で、心身が反応する感覚を届けることができたなら幸せに思います。
開米:
私自身も、河原さんの器を使う時間は、心が整うようなひとときだと感じています。
そんな作品を生み出す河原さんが、どのようなものから影響を受けてこられたのか、ぜひ伺いたいです。
制作を続けていく中で、影響を受けた陶芸家や尊敬されている方はいらっしゃいますか。
また、陶芸以外でもご自身の制作に影響を与えているものがあれば、ぜひ教えてください。
河原さん:
「古き良き器」を作った職人、
そしてやきもの産地巡りで出会えた鍛錬された技術を持った方たちを尊敬しています。
その技術を分析してあれこれすることが、私の制作の原動力となっています。
陶芸以外では、建築が挙げられると思います。器は内と外の空間を印象付けることができるものです。
20歳から始まった優れた建築空間を体感する楽しみは、私に強く影響を与えているものと思います。

開米:
建築が育んだ空間を見る感覚と、古い器や職人の技術への深い探究心。その両方が重なって、
河原さんならではの器が生まれているのだと思いました。
古い器や建築など、さまざまなものをご覧になってきた河原さんですが、
普段の暮らしの中で、「美しい」と感じる瞬間はどんな時ですか。
河原さん:
どんな物でも、なにかの動きでも、空間との境界線が心地よい時、美しいと感じているようです。
開米:
その美しさを見つめる感覚が、そのまま河原さんの器にも宿っているように感じます。
今回FREEPARKへ届けてくださる作品について、ぜひご紹介をお願いします。
どのようなところに注目してご覧いただけたら嬉しいですか。
河原さん:
生掛焼成ならではの、表面的ではない色味を楽しんでいただけると思いますので、上下左右様々な角度から眺めていただきたいです。合わせて、経年変化も見込める器となっています。
また、機械的でもなく、揺らぎが大きいわけでもなく、その狭間を辿る輪郭も感じていただけたら嬉しく思います。
開米:
河原さんのお話を伺い、眺めることも器の楽しみの一つなのだと感じました。
最後に、FREEPARKへお越しくださるお客様へメッセージをお願いします。
河原さん:
制作背景を言葉にすると堅苦しい器の印象を与えてしまったかもしれません。
器に自然と手を伸ばしていただくための、
私なりの工夫ですので、お気軽に触れてみていただければ幸いです。
開米:
貴重なお話をありがとうございました。
制作背景を伺ったことで、作品を眺める時間も、手に取る時間も、より豊かなものになりました。
ぜひ皆さまにも河原さんの器を手に取り、
さまざまな角度から、その佇まいを感じていただけたら嬉しいです。